몽실 언니 / 권정생 を読んで【韓国書籍】
56冊目
몽실 언니 / 권정생
モンシル姉さん / クォン・ジョンセン
児童文学です。

時代背景が変われば語彙が変わる
「モンシル姉さん」は、朝鮮戦争下の韓国が舞台です。
現代とは食べるものが違い、住む家が違い、する仕事が違い、子どもの遊び方も違います。
児童文学なので読みやすいかと思いきや、むしろ、現代のSFなどよりよっぽど単語が分からない……という事態に陥りました。
初めて見る単語のオンパレードで、知らない単語を読み飛ばすのにも限界があり、今回はよく調べながら読みました。
しかもそういう昔の言葉はだいたい固有語なんですよね。
漢字語と違って、推測ができないので、苦労しますね。
名作
長く読み継がれるだけあり、本当に名作です。
物事を両面から見るような描写が散りばめられています。
人間の普遍的な善悪を描き、しかしその悪を一刀両断しない聡明さと優しさを見せてくれます。
生きるための様々な取捨選択を、一方的にジャッジすることのない本です。
また、1981年の韓国の本とは思えないくらいなのですが、この本の中では人民軍(北朝鮮側)が一方的な悪者として描かれてはいないんですね。
(その時代にそれが可能だったとは…少し驚きました)
사람은 누구나 처음 본 사람도 사람으로 만났을 땐 다 착하게 사귈 수 있어. 그러나 (中略) 신분이나 지위나 이득을 생각해서 만나면 나쁘게 된단다.
몽실 언니
人は、ひとりの人間として人に出会えば優しく付き合えるけれど、
身分や地位や利益で出会ってしまった人には、悪く振る舞えるのだ、というこの言葉通りのことが、小説のなかでも行われます。
その他にも、食べるために仕方なく行った悪い選択を、モンシルは責めません。
そして自分も、正しくないと思っている行動を、生きるために行います。
そうやって自分と家族の命をつないでいきます。
戦争とは
本当にその通りだと思った一文があったので紹介します。
전쟁은 높은 사람들이 일으켰지만, 그 피해는 모두가 가난하고 착한 백성들만이 떠맡아 버린 것이다.
몽실 언니
これは本当に、どの国でも、どの時代でも、変わらない真理だと思います。
戦争は地位の高い人々が起こしますが、その被害は罪のない貧しい民が背負う羽目になるのですよね。
現代へあてはめて考えてみても、本当にそう思います。
感想
強く生き抜いたモンシル姉さんに拍手を!
そして、モンシルのように、安易に物事をジャッジせず、視野が広く他人の痛みが分かる人間として、生きていきたいです。
とても良い本でした。
心からおすすめします!