原書多読

레몬 / 권여선 を読んで【韓国書籍】

27冊目

레몬 / 권여선

レモン / クォン・ヨソン

208ページということで、読みやすそうかな?という理由ひとつで手にとってみた小説が、こんなに面白いとはね…(衝撃)

オンライン書店のサイトではこの本のジャンルはミステリーに属しているけれど、

単純にミステリーと呼ぶにはあまりにも謎解きが明快ではない気がします。笑

本書の面白さを述べるために不可欠なため、以下は、多少のネタバレを含みます。

事件の真相は

罪を犯した人々のその後の人生から離れない影や、因果応報についてなど、ミステリー要素以外も充実している本書。

しかし、私の場合、痺れるような面白さを感じたのはミステリー要素です。

  • 真犯人について

ハッキリと明記しているわけではないんですよね。

ただ、最後まで読んだあとにパラパラと読み直すと、非常にクッキリとした真相の形が見えてきます。

読後に是非、本書のタイトルと「解釈」などの単語を入れて韓国語でネット検索してみてほしいです。

  • 動機について

私が見逃したのかもしれないですが、結局動機がハッキリしないんですよね。

ただ、犯人の妻が語る章であいまいに述べられているのみで・・

  • 原語のレビューと日本語翻訳版のレビューを見比べて

レビューの全体数が違うというのもあるでしょうが、原書のレビューに比べて翻訳版を読んだ方々のレビューのほうが、

いまいちピンときていない感じのレビューが多かったのがちょっと気にかかります。なんでなんだろう…

点と点が線でつながるとき

読みながらずーっとひっかかっていた様々な部分が、ひとつにカチッとつながるときの快感たるや。

特に、「美しい子どもを母にプレゼントしたって言ってたのに、結婚したり子どもを産んだりした気配がないな…」

「どうして子どもの笑い声に罪悪感を覚えるのかな…?」といった部分が、後半で「誘拐」という単語が出てきた瞬間のある種の爽快感たるや。

この本の端々に、そういった、「ピースがカチッとはまる」部分があり、それが私にはとても面白かったです。

(でも「これが正解です!」と明快に語られているわけではないんですよね。まるで謎解き・解説部分のないミステリーのようです)

スカッとしない復讐

後半に、因果応報について語られる部分があります。

結局主人公は復讐を果たすんですが、それで幸せになるかと言えば、正反対なんですよね。

新しい不幸の始まりです。まったくスカッとしない復讐ですが、それもすごく良かったです。

以上、「レモン」の感想でした。

解釈が人によって分かれそうな本なので、これはあくまでも私の個人的感想ですということを、念のため最後に書いておきますね。

MARIKO

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