엄마를 부탁해 / 신경숙 を読んで【韓国書籍】
18冊目
엄마를 부탁해 / 신경숙
母をお願い / シン・ギョンスク
これを読んで泣いた…という感想をよく聞いていたので、いつか読もうと思っていました!
2008年出版の長編小説ですが、もっとすごく昔の小説のような感じがします。
かなりの高難易度
本を読んで泣くためには、それ相応の理解力が必要なんだな…と実感した一冊でした。
「母をお願い」は、韓国語学習者にとっては正直、非常に難易度が高く、理解が難しい本です。
その理由を簡単にお伝えします。
- 語彙のレベルが高い
単純ですが、これはかなり大きい要素です。
サンプルとして、序盤のほうに出てくるこの文章をちょっと見てみてください。
그러다가 엄마는 간혹 수심에 잠기며 네 얼굴을 이윽히 들여다보았다. 풀먹인 이불홑청을 판판하게 하기 위해 양끝을 맞잡아당겨야 하는데 상대가 없어 ~~
엄마를 부탁해
수심 – 愁心。수심에 찬 얼굴, 수심에 잠기다 のように使います。걱정이 많은 얼굴 ですね。
이윽히 – 은근하다, 생각이 깊다
풀먹인 이불홑청 – 천에다가 처리하는 과정, 풀을 옷감에 묻히는 거
판판하게 – 펼치다는 느낌, 平たい感じ
ほんの1, 2文の間にこれだけピンとこない語彙が出てくると、なかなか厳しいんですよね…
序盤は特に、小説を読んでいるというよりも、教科書を読んでいる気持ちで読み進めていました。
しかも、検索すればすぐに出てくるような単語ばかりでは無いんですよね…。
韓韓辞書(というか韓国の国語辞典というか)の出番です。
ただ、救いとしては、体感として1章が終わったあたりから、少し楽になります。
私の場合は、1章はしっかり調べながら読み、2章以降は知らない単語はちょいちょい読み飛ばしながら進みました。
解像度90%の視線ですね。
もうちょっとしっかり理解できれば、もっと心に響くだろうに…とも思ったんですが、すべてを調べていたら、読み切れないな、という気がしたので。
最後まで読み切るほうを優先しました。笑
知らない単語を検索する過程で、色んなホームページを見たんですが、どうも以前にNHKラジオのハングル講座で取り上げていた時期があったようですね。
当時のリスナーのまとめた単語集に助けられたりもしました。
(農業に使う昔の道具の名前とか…)
- 二人称小説
これも本当に参りました。
日本語で読んでも混乱するんじゃないかな…と思う構成です。
小説って、だいたいは一人称か三人称じゃないですか。
「母をお願い」はとても珍しい、二人称小説なんですよ。
しかも!章ごとに変わるんですね、二人称が…。涙
学習者泣かせです。
後の誰かの役に立つかもしれませんので、一応まとめておきますね。
韓国語学習者が読むにあたっては、最低限この予備知識は必要だ、と思った部分です。
‘너’ | 큰딸 | 1장 |
‘그’ | 큰아들 | 2장 |
‘당신’ | 남편 | 3장 |
‘나’ | 엄마 | 4장 |
‘너’ | 큰딸 | 에필로그 |
解説します。
まず、基本として、二人称なので、神の視線というか、本が自分に向けて呼びかけるような感じの構成なんですね。
1章目では「お前は…」といった呼びかけ方で物語が進んでいくんですが、そのときの「お前」は「長女」なんですよ。
(つまり私が長女の立場になったかのような感じですね。長女である私に向かって、本が「お前はこうした、そしてお前はこう感じた」のように呼び掛ける文体ですね)
せめてこれが固定されていたら……!まだ読みやすかったかもしれませんが、なんとこれが章ごとに変わるんですね。
3章目では「あなたは…」の呼びかけになりますが、この時の読者は夫の立場です。
この二人称は本当に、ネイティブにとっては粋な小技、外国人にとっては混乱の幕開け、といった印象でした。
良かった点
大変だった点のみを強調してしまいましたが、ここは良かったなと思う部分もありますので、簡単に共有します。
- 二人称が「私」になったときの、思いがけない秘密の思い出
読んでいて一番意外で、面白かった部分です。
一気に読むスピードが上がった部分です。笑
- ソウル駅で母が失踪するという幕開け
これ以上ないくらいに興味をひく冒頭部分ですよね。
何がどうなっているのか、状況を把握するまでハラハラしながら続きが気になりました。
- エピローグの手紙
妹が長女に送った手紙が出てくるんですが、個人的にその内容がいいなと思いました。
ネタバレになってしまうので詳しく書けないのが残念ですが。
- 320ページという分量
この難易度で400ページ超えていたら、冒頭で諦めていたかもしれません…。笑
320ページなら、調べながらでもギリギリ読める…!と思える分量でした。
以上、「母にお願い」の感想でした。